静岡県牧之原市の川崎幼稚園で起こった、河本千奈ちゃん置き去り死亡事故の関して、7日午前、園内で保護者説明会が始まっています。事件後初の記者会見ということで、どのような経緯説明をするのかが注目されます。
この記事では、事故当時運転手をしていたとされる園長、増田立義氏の経歴について探り、あの無責任な確認作業の怠慢が起きた原因とも思われる、増田立義氏の園長免許・資格についてお伝えし、園長としてふさわしくない人物であったことを追っていきます。
川崎幼稚園バス事件「ぱんだバスの悲劇」牧之原市河本千奈熱中症死亡
増田立義免許資格「親族経営のコネで園長に」
増田立義氏のプロフィールは、川崎幼稚園内ホームページにて簡単に紹介されています。
(出典:川崎幼稚園 HP より)
増田立義氏は、平成11年に「浪速短期大学通信教育学部保育科卒」と記されています。平成11年時(1999年)、増田立義氏は50歳。かなりの高齢期に卒業したことがわかります。
どうやら、前任の増田秀夫氏の後継として、平成14年8月に園長を引き継いだようで、「浪速短期大学」卒業後3年弱で園長になっていることがわかります。
50歳になってから短大卒業(=幼稚園教諭免許取得)し、わずか3年で園長になるのは一般的に早すぎるのではないかとも思えます。
(出典:川崎幼稚園 沿革 より)
ここで、増田立義氏が卒業したとされる「浪速短期大学 通信教育学部 保育科」(現 大阪芸術大学短期大学部 通信教育部 保育学科)を調べてみると、取得できる免許が「幼稚園教諭2種免許」であることがわかりました。
(出典:大阪芸術大学短期大学部 通信教育部 HP より)
幼稚園教諭2種 保育士資格 社会福祉主事(任用)資格
ここで、「幼稚園教諭1種」と「幼稚園教諭2種」の違い、「園長」になるための条件を紹介していきます。
幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている4年生大学(教育学部、人間学部など)及び短期大学専攻科(大学と同程度の教育を行うと認められた短大)を卒業することによって取得できます。
幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている短期大学(幼児教育科、保育科、こども学科など)及び専門学校を卒業することによって取得できます。
(出典:Brush UP 学び より)
幼稚園教諭1種免許状を持っている方が、待遇面を考える上でメリットになり得ます。
幼稚園の園長職は、 “1種免許” か “専修免許” を持っている方のみ就くことができます。幼稚園教諭2種免許状を持っている方が園長を目指す場合は、1種免許状を取得する必要があります。
【園長先生になるための法律的な条件】
- (一般的には幼稚園教諭)1種教員免許を保有し、5年以上教育に携わっている人
- 10年以上教育に従事してきた人
(出典:ゆめほいく より)
基本的に、短大で取得できる幼稚園教諭免許は「2種」のみで、「1種」を取得するには4年制の国立大学か、限られた私立大学で取得することができることになっています。
文部科学省より発表されている「幼稚園教諭1種免許」取得可能な大阪府内の大学はこちらになっています。
(出典:文部科学省 HP より)
当然、大阪府内の「浪速短期大学 通信教育学部 保育科」(現 大阪芸術大学短期大学部 通信教育部 保育学科)で「幼稚園教諭1種免許」を取得することはできません。
一体、どのような人が園長になることができるのか? 先ほどもご紹介しましたが、基準としては、「幼稚園教諭1種免許」を保有していて、なおかつ最低でも5年以上の実務経験がある人が、園長として運営できることになっています。
幼稚園教諭免許状一種だけではダメ!?
認定こども園では、幼稚園教諭免許状だけでは園長の資格基準を満たさないことがあります。「幼保連携型」は、幼稚園教諭免許状のほか保育士資格も必要で、5年以上の実務経験も必要です。「幼稚園型」では、幼稚園教諭免許状にプラスして5年以上の実務経験、もしくは10年の教育職経験が求められます。
このように認定こども園の園長になる場合には高いレベルが求められますが、待機児童の問題などから今後の期待が高まっている新たな施設形態なので、目指す価値は十分にあるといえるでしょう。
(参考)内閣府 認定こども園 事業者向けFAQ
(参考)内閣府 認定こども園
(出典:保育ひろば より)
このことから、増田立義氏の園長になるための免許・資格としては、グレードも経験値も足りない状況であり、「園長」として就任するには “資質不足” であったことが推察されます。
それではなぜ、川崎幼稚園の「園長」として就任することができたのかと言えば、「一族経営」であったことが明らかです。
私立幼稚園の園長は血縁?実力?
私立幼稚園では、園長になるための昇進試験などを設けているケースは少なく、血縁関係など世襲制で園長職を決めていることが多いようです。この場合、幼稚園教諭免許状がなくても「オーナー」として園長の業務をおこなうこともあります。
(出典:保育ひろば より)
私立幼稚園である「川崎幼稚園」は、先代の増田秀夫氏が取り急ぎ、息子である増田立義氏を次期園長に就任させ、資質不足な増田立義氏がそれ以来、「幼稚園教諭2種免許」レベルの実務能力をふりかざして、「川崎幼稚園」を運営していってしまったということになります。
全く「園長」としての資質を持ち合わせずに、「世襲」という体裁だけでやってきたツケが、ここにきて再三注意されてきた、幼稚園バス内の園児置き去り、という取り返しのつかないミスにつながりました。
増田立義無責任発言「辞任します」園長失格
7日午前に行われた保護者説明会で、増田立義氏の園長辞任の発表がなされました。
やりたいようにやってきて、自分のミスへの責任を、最初の保護者への説明会で「辞任」という形で収めようとしました。
この増田立義氏の “逃げ” の姿勢に、参加した保護者から怒号が飛び交い、気分を悪くして救急車で運ばれていく人もいたようです。
一体、「園長」ともあろう人物が、保護者たちの感情に寄り添うことなく、よくも「辞任します」と真っ先に自らの進退について告げようと思うのか、人としての資質も疑われます。
前日の報道陣への対応も、全く反省している様子も、小さい命が失われた悲しみなども、全く窺えませんでした。口を開いたかと思えば、内々のこと、自分の周囲に関することで頭がいっぱいのようでした。
(出典:ANN より)
夜の雨が降る中も、報道陣の呼び掛けに対しても、一瞥したかと思うと無言を貫いて車に乗り込みました。
(出典:日刊スポーツ より)
事件発生当初も、バスの運転手が誰なのかはっきりしない時に、「確認したこと(覚え)がない」と語ったのがこの増田立義氏であったことものちにわかりました。
また、『週刊文春』が、増田立義氏の知人という方の話を報じました。
(出典:『週刊文春』より)
「ええからげん八兵衛」とからかわるほど、いい加減な人物であったことが推察されます。
もともと「専修大学経営学部」卒。経営から幼稚園という急激な路線変更をしています。この知人という人物の話からも、そもそも素質の無かったことが窺えます。
当日、通常の運転手の代役で幼稚園バスを運転した増田立義氏。たまたまその日に運転手をしたといえども、さすがにバス降車時に、園児の有無を確認しない人などいるのでしょうか?それも、園の最高責任者である「園長」ともあろう人物です。
しかも、派遣で訪れていた同乗車の70代の女性に「女性が確認したと思った」と、責任すらなすりつけてもいます。
本来所持すべき資格を持たずに園を運営してきた罪、代役で運転した幼稚園バスで園児の命を奪った罪、なにより無感情で、河本千奈ちゃんの尊い命にすら詫びる気持ちの無い人間。そうした人物が園長を務めていたことが、この事故の問題の根底です。
川崎幼稚園バス事件「ぱんだバスの悲劇」牧之原市河本千奈熱中症死亡